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回教~collection6~ [建築]

 今日は代々木上原の東京ジャーミイへ行って来ました。
東京ジャーミイは日本におけるイスラム教の礼拝場としては最大のものになります。
ロシア革命の際、ロシアに住んでいたトルコ人達が満州を経て東京へ移り住み、
そのまま定住した者達の手で作り上げられました。
今の建物は再建されたもので、2000年に完成されたのでとても新しく綺麗な造りに
なっています。
建築当時はトルコから100名ほどの建築士などが来日したそうです。

私自身はイスラム教徒ではなく、特別信仰している宗教はありません。
それでも「神」の存在は信じます。
これは理屈ではなく、昔からそう思っていた、に過ぎません。
私が信じるところの神は、唯一神ではなく、アニミズム信仰ですね。
その点で云えば、イスラム教は相反するものではあるのでしょうが、
私は「宗教」自体、学問として興味があるのです。

あと何といっても礼拝堂の建物としての素晴らしさ。
東京ジャーミイはまず、「あの建物は何?!」という好奇心から引き寄せられました。
下北沢に移り住んでから、新宿に出るために小田急線を使うようになったのですが、
電車に乗って車窓から景色を眺めていると、必ず見えるくらいの大きな建物なのです。
そして散歩の途中で立ち寄った時のあの感動は、今でも忘れられません。

それ以来、考え事をしたい時や綺麗なものを見たい時に、時々立ち寄るようになりました。
いろいろ考えたり悩んだりしていても、礼拝堂の中にいるだけで、
最後には頭が白紙に戻ります。
また「始めよう」と云う気にさせてもらえるのです。
ドームの素晴らしさは筆舌に尽くし難い。

今日は礼拝に立ち会うことが出来ました。
お祈りを捧げていたのはマレーシアから来ていた5人の家族。
小学生くらいの男の子が、さっきまで声は出さずとも暴れまわっていたと思ったら、
その時間にはきちんと大人と同じようにお祈りの所作を繰り返していました。
その姿に思わず感心してしまいましたね。
日本の子供たちからはちょっと不足して来ている種類の忍耐力だと思ったので。

私も厳粛な気持ちで今日と云う日を終えられました。






理念~collection5~ [建築]

 今日は私が参加している「DOCOMOMO Japan」というNPOの総会に参加してきました。「DOCOMOMO」は正式名称をDocumentation and Conservation of buildings, sites and neighborhoods of the Modern Movement(=モダンムーブメントに関わる建物と環境形成の
記録調査及び保存のための組織)といい、モダニズム建築保存のための組織です。

日本にはこのDOCOMOMOが選定したモダニズム建築115選があり、私の好きなライトの
建築もこの中に含まれています。ライトの帝国ホテルに魅了されて以来、すっかりモダニズム
建築を愛するようになった私は、趣味が高じてこんなことも始めてしまいました・・・。

今日の総会は八王子の大学セミナー・ハウスでした。
これがまたとても奇妙でユニークな建物群なのです!

「大学セミナー・ハウス 本館」
吉阪隆正/設計 東京都八王子市下柚木・1965年

ご覧の通り、逆三角形なんです!窓や部屋が斜めなんです!こんな建物初めて!
しかも眼があるんですよ~!

ぶ、不気味・・・。

本館以外の宿泊施設もどれも変わっていて、この変わり方がこだわりのようです。
「一つとして同じ形はない。おのおのが個性をもって主張している。」
これがこのセミナー・ハウスの一番のこだわりだそうです。
なんだかこないだのSONYの標語のよう!

ユニット・ハウス 

この施設は1人部屋13棟を1群として、7群まであったのですが、
建物の老朽化・施設の利用状況を鑑みて、新館を建てるがために(床面積の関係上)、
1群と2群の4棟のみを残して後は取り壊しになるそうです。
今日行ってみたところ、既に殆どが解体されていました。
ちなみに葉っぱのマークはこの大学セミナー・ハウスのシンボルですが、
葉っぱの数によって一目で1群、2群と分かるように工夫されていたようです。

あと一番中からの空間が面白かったのが、この長期研修館。

中があまりにも奇妙に作られていて、全体が写せず部屋内は私には撮れませんでした。
でも外からみても、だいぶ奇妙さは伝わると思います。
でこぼこしてるのがひとつひとつの部屋なんです。ほとんど迷路ですよ~。

とても素敵な施設なのですが、シンポジウムでこの大学セミナー・ハウスの存続が
危ぶまれているお話しをされていて、建築当初から関わっている設計士の方が
先日建ったばかりの新施設について、金銭的な問題、今の館長さんとの意見の相違から
施工に関われなくて、本来の大学セミナー・ハウスの教育理念とはかけ離れた施設が
出来てしまったことを、涙ながらにに悔しそうに語っていました。
理想と現実。
思わずもらい泣きしてしまいました。

設計者・吉阪隆正さんは、この大学セミナー・ハウスについてこんなことを云っています。

「一人一人が己の城を持つことが、自分の意見をもつようになるもとだ」
「遠くて不便なことが、偶然の出会いの機会をふやす。」

他にももっといい言葉がたくさんあったのですが、特に今日実際の建物を見てみて
実感したのが、このふたつの言葉です。
今度は泊まってみたいなぁ~。


銀座~collection4~ [建築]

 銀座で眼を奪われるビルと言えばこれですよね。

「SONYビル」
芦原 義信/設計 東京都中央区銀座・1966年

SONYの創業者・盛田昭夫が、「F・L・ライトのグッゲンハイム美術館のイメージ」で、
と提案して芦原義信が設計した、日本最初のショールームです。

「私は世界の誰とも似ていない」(ソニーの標語)

この言葉好きです。


家具 [建築]

 昨日見た「かもめ食堂」のインテリアがすごく素敵だなぁと思っていたら、
どうやら家具などはアルヴァ・アアルトで統一されていたそうです!
あぁぁ。道理で素敵な訳です。

アルヴァ・アアルトはフィンランドの有名な建築家・デザイナーです。
フィンランドではシベリウスとアアルトは神様みたいな存在みたいですよ。

フィンランドに多く自生する、家具には不向きだと言われていた白樺を素材とした
シンプルなチェアなどが有名で、それはそれはとても素敵なんです。
私「椅子」のあの造形がとても好きで、あまりに素敵な椅子を見るともう、
どきどきしてしょうがないのですが(笑)、収集するにはあまりに道楽過ぎて、
いつも眺めるだけで過ごしています。
しかも悲しいくらいに日本人なので、椅子にずっと座っている体勢が耐えられなくて、
椅子の上でつい正座しちゃったりするんですよね・・・。

しかし、あんな食堂あったらいいなぁ。
アアルトの食卓でごはん食べたいなぁ。

ちなみにアアルトの代表作「パイミオチェア」です!
ねぇ!素敵でしょう!!


文象~collection3~ [建築]

 今日はクロスクラブでコンサートのお手伝いです。
クロスクラブは故・山口文象という建築家の自邸のことで、
今は息子さんがお家を開放して、コンサートや結婚式や雑誌の撮影場所などに
使われています。

ここのお庭には桜・コブシ・アカシアが植わっていまして、今日は桜がちょうど満開!
とてもいい日和でのコンサートだったので、いつもより更に楽しかったです。
演奏はもちろん、素晴らしく素晴らしかった・・・。
私はブラームスをとても愛しているので、多分他の作曲家の曲よりずっと、
感情移入し易いのですが、それにしてもクラリネット三重奏は最高でついつい
涙が溢れそうでした。

ブラームスはなんだか、自分が心の中でとても大事にしている思いや記憶や
言葉にならない感情が呼び起こされるので、その音のひとつひとつが
心に響いて仕方がないのです。
今日聴けて本当に良かった~。

裏方なのでばたばたと動き回ってましたが、昨日の旅行疲れもすっかり忘れるくらい
とても楽しい一日でした。

そして何よりあの空間をとても愛しています。
お庭も含めてとても素敵な建物ですが、あんまりに素敵過ぎて写真にすると
全部が収まりきれないのが残念です。
来月はピアニストである息子さんのコンサートがまたあるので、
今度はお客さんでまたお伺いする予定です。


神戸~collection2~ [建築]

 取り壊しになる谷崎潤一郎の旧邸を見るために、神戸まで行ってきました。
通称「ナオミの家」。谷崎が「痴人の家」を書いた書斎のある家です。

家の中は谷崎の後に住んだ方がいろいろと増築を繰り返していたようで、
当時の見る影もなかったので、正直あまりイメージは湧きませんでした。
しかもかなり小さくて狭くて、10分で見終わってしまいました・・・。終了。

あとはせっかく神戸まで来たので芦屋まで足を伸ばして、
フランク・ロイド・ライトの設計した旧山邑別邸(現・ヨドコウ迎賓館)を
見に行ってきました。
池袋の自由学園とも、旧帝国ホテルとも、雰囲気はまるで違うけれど、
やっぱりライトらしいなぁと思わせる幾何学的建築。
ライトはその地域の特性なども考慮に入れて、地域の雰囲気とも調和されるように
造っていたようです。
なるほど。芦屋にとてもとても合うんです、これが。
重要文化財なので部屋内は写真が撮れなかったので残念です。

入り口

屋上

屋上から見える芦屋川

そして時間が余ったので、なんと京都まで更に足を伸ばしました。
桜の清水さんを見るチャンスだ!と思って行ってみたら、まだまだつぼみでした。
あらら~。

帰りは京うどんを食べて、急いで神戸に戻り神戸空港から帰宅しました。
もう、くたくたぁ。でも充足感で一杯です。
つくづく旅っていいですね~。


建築~collection1~ [建築]

 先日から私の中でむくむくと建物を見に行きたいという思いが強くなって来たので、
今日はお休みを取って見に行きました。

「自由学園 明日館」
フランク・ロイド・ライト/設計  東京都池袋

先日も記載した旧帝国ホテルを建築したライトの作品です。
帝国ホテルとは違って建物は木造なのでとても柔らかくて優しい作品でした。
当時女学校だった自由学園の女子生徒のために作られたので、
ひとつひとつが割と小さくて、でもまとまった暖かい空気の中、
来ていた学生もご近所の方もとても幸福そうに見えました。

建築は使ってこそ活きるというライトや関わった人の思いから、
現在もコンサートや結婚式、授業のために使われている明日館は
本当に生きた建築物だなぁ、と胸がつまる思いでした。

今までこんな近くにあったのにどうして行かなかったのかしら。
またライトに会いに来よう。
久しぶりにお会いしたライトは、やっぱり素敵な人でした。


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