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ノルウェイのクリスマス [映画]

Merry Christmas !!
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I hope you all have a wonderful day, and I hope you spend it with your close friends and family.
Have a great one!!

私は「ノルウェイの森」を観てきました。

あの本を題材にしていて、誰の内面も描かなかったトライ・アン・ユン監督はすごいです。
私は最初、なんて悪意に満ちた映画なんだろうと思って観ていました。
でもそうではなく、あの映画はあの本からみんなの欲望だけを集めて作った映画なんです。
そして20歳前後の特有のどうしようもない傲慢さ、透明さ、それと絶望。

一番すごいと思ったのは直子が渡辺くんに叫ぶシーン。

「なぜわからないの?あなたの存在が私を苦しめるのよ!」

これは、小説の中で直子が渡辺くんに云えなかったと、私がずっと思ってきた台詞。
本にはない台詞です。
直子は渡辺くんを心から必要としていながら、上のように思っているはずと私も思っていました。
けれど、これが渡辺くんに云えたら、直子は死ななかったと思います。

でもそれと同時に、直子がこの台詞を発した時点で、この映画は小説を離れた一つの作品として、
確立されたように思います。

ご存知のように、これはただの私の解釈です。
この映画がどうだったか?と聞かれたら、間違いなくくそです。
それは観る前から分かっていたこと。
でも、いい映画でした。

では良いお年を!!

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めがね [映画]

『めがね』2007年/日本

めがねをかけて『めがね』を観に行きました。
心なしかめがね人口が高かったようにも思ったけど、気のせいかも。
めがねをかけてる人なんてもともと多いし。
動員数と同時にその内何割がめがねか分かればいいのにね。

サクラさんのメルシー体操は素敵でした。
帰ってから試みる。上手くいかない。私のは素敵じゃあないなあ。
主人公のタエコさんは変わらないことを受け入れていました。
ヨモギくんは海辺に座って、ロブマイヤーのビアグラスでビールを上手そうに飲んでいました。
私もそうしてみたくて海に行くことにしました。
気持ちひとつで。

いってきま~す。


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エリザベス女王とダイアン・アーバスとアニー・ホール [映画]

考えすぎて何を考えていたか分からなくなり、
動きすぎて何をしようとしていたのか分からなくなる。
特に、夏は。
空回りする自分を冷笑するくらいしか、今出来ることがない気がする。
そんな中、気晴らしに見た映画のことでも。

『クィーン』2006年/イギリス

ダイアナ元皇太子妃の事故死の直後の当時のイギリス王室を描いた作品。
エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンは、第63回ヴェネチア国際映画祭・女優賞、
第79回アカデミー賞主演女優賞を受賞。

ダイアナはパパラッチに追いかけられ、パリで恋人と事故死したのは有名ですが、
当時既にチャールズ皇太子と離婚していたため「一般人」であったにも拘らず、
事故死した一週間後に「国葬」されていたのを私はこの映画を観て、初めて知りました。
ダイアナが亡くなったのは1997年。もう10年前なんですね~。

ダイアナとイギリス王室との確執が、実際の映像も交えつつ描かれていて、
こんな映像の公開が許されてしまうイギリスが凄いと思いました(笑)。
日本の皇室ではまずあり得ない。

エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンは本当に、素敵でした。
山の中で一人きりで泣くシーンがあるのですが、素晴らしく、美しい。
女王としての気高い誇りを見事に表現しきっていて、見ていて胸が熱くなりました。
自己の矜持を保つこと。それは人間としての美しさに繋がりますね。

『毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレート』2006年/アメリカ

ダイアン・アーバス(1923~1971)という実在した写真家の生涯を描いた作品。
記録映画ではなく、監督がダイアン・アーバス自身にとても惹かれ、
事実とフィクションを織り交ぜて、魅惑的で甘美な映像に仕立てています。

ダイアン・アーバスと云う人は、とっても風変わりな写真を撮る写真家で、
フリークス(肉体的・精神的な障害者、他者と著しく異なる嗜好を持つ者など)たちを
好んで被写体とした人です。
ニューヨークの近代美術館の「新しいドキュメント」に出品し評価を高めましたが、
1971年7月に大量のバルビツル酸塩を飲み、自ら手首を切って自殺しています。

私はこの映画を観るまでこの写真家の存在を知りませんでしたが、
俄然興味が湧きまして、何枚かのポートレイトを見ましたが・・・ううん、面白い。
おおっぴらに絶賛は出来ないし、楽しい写真ではないのでお薦めは出来ませんが、
一度は彼女の写真を見てみて下さいな~。

彼女の写真と同様、皆が楽しめる映画ではないのですが、映像や色彩がとても美しく、
何よりダイアン・アーバスを演じている二コール・キッドマンが美しすぎる!!
あの存在感の強さに見惚れるというか、圧倒されます。
キッドマンは最近、単館系の映画によく出るのでなんとなく好印象(笑)。
気に入った役をやる、と云う姿勢がとても魅力的。

ちなみに、二コール・キッドマンが元夫トム・クルーズと共演した『アイズ・ワイド・シャット』の監督、
スタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』はダイアン・アーバスのポートレイトにインスパイア
されて、イメージを起用して作られた作品とのこと。

『アニー・ホール』アメリカ/1977年

ニューヨークで優雅な独身生活を送っていたコメディアンのアルビーが、歌手志望のアニーと出逢い、
自由な交際を送りつつ、すれ違って行く様を描いた作品。
タイトル・ロールを演じたダイアン・キートンは、その年のアカデミー賞主演女優賞を受賞。

とっても久しぶりに観たのですが、やっぱりいい!ダーイスキ♥
ウディ・アレンの映画って何でこう面白いのだろう。
あの理屈っぽいジョークと、映像の見せ方というか。うーん、好きだなぁ。
それでいて胸にくる。切ないなぁ・・・。
アニー・ホールはやはり秀逸。

何か映画でも観に行きたいなぁと思って映画情報を観ていたら、
今渋谷でとっても懐かしい映画特集をやっていて、アニー・ホールも3日だけ上映されていました。
懐かしいって云ってもワタシの生まれる前の映画ですけどネ(笑)。
ちょうど気持ちと観に行く機会がぴったりした時にやっていたので、
タイミング良く観に行けました^^

ダイアン・キートンがとってもキュート。
ラルフローレンはこの映画で有名になったと聞いたことがあるけど、
この作品の彼女の衣装は本当に彼女に似合っていて素敵~。
アニーがこの服はおばあちゃんにもらった、とアルビーに笑顔で答えるシーンが好き。
それと、テニスをし終わった後にアルビーにその後、誘って欲しそうにしてるアニーが
かわいくて好き。

こうして最近観た映画をを並べてみれば、たまたまたどれも女優さんが魅力的な映画ばかりを
観ていたことに気が付きました。
映画の選択は本当に偶然だったのですが・・・。はてはて。


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NARA:奈良美智との旅の記録 [映画]

『NARA:奈良美智との旅の記録』2006年/日本

奈良美智のドキュメンタリー映画が今上映されています。
昔から奈良美智は好きでした。
でもね、『好き』は『好き』でも『大好き』だった訳ではなくて『お気に入り』くらいでして、
展示会には必ず行っていた、とかそういった種類の『好き』ではなかったのです。
たまーに彼の絵を眺めて心を温めていたくらい。

そんな中、去年の夏に彼の絵を久しぶりに観た時に、とっても驚きました。
絵が、変わってるんです。
彼の描く女の子の表情が、今までの独特の陰鬱さとか意地悪さみたいなものが消えて、
とても穏やかで透明で瑞々しいものに変化していました。

あれ?あれ?
彼への興味は深まりました。
ちょうどその時、彼の出身地・青森で大規模な展示会をやっていたので、
その疑問を解消しに観に行こうと思ったのですが、青森という場所もあり、
その時は忙しく過ごしていたこともあったので、結局は行かず仕舞いでした。
この映画はその展示会に行き着くまでの奈良さんのお話し。

観終わった後のこの気持ちは・・・
とってもいろんなことがショックで上手く言葉に出来ません。
安堵。寂寞。焦燥。

彼の絵が変わったことへの彼のコメントは非常に印象深かった。
「今まで描けなかったものが描けるようになった、のと同時に、今まで描けたものが描けなくなった」

少しずつ回りとの調和が取れるようになり、大人になったと自分で感じる一方、
回りのことを考えすぎてダメになってしまった部分がある、と彼は考えているようです。
これって、分かると思う。
孤独が支えるものがあり、孤独が育てるものがある。
でも、調和が支えるものもあり、調和が育てるものもある。

今年に入って、私には大きな別れが三つほどありました。

これからの孤独はあるいは私を育てるかも知れませんが、私にとって、
今までその彼らと共有してきた多くに優るものは、この先何ひとつありません。

今はただ、やるべきものが残り、孤独が育てるものに期待を馳せる。


もう、
言葉は閉ざされ、瞳は閉じられたまま。

ゆっくりと、瞳が開かれるまで、お元気で。




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Copying Beethoven [映画]

★★★★★★★★Merry Christmas★★★★★ ★★★

今日はノエルですね~。
みなさま、幸せなノエルを過ごせますように!!
私からのクリスマスプレゼントにお薦めの映画をご紹介します。

『敬愛なるベートーヴェン(原題:Copying Beethoven)』/2006年・イギリス、ハンガリー

今公開している映画です。
正直ね、期待して観に行かなかったのもあるんですけど、とーーーても良かったです。
作曲家ベートーヴェンとその写譜師のお話しで、事実ではありませんが当時の様子が
とてもうまく表現されていて(いると思われて)、とりわけ第九の初演のシーンは
あまりに素晴らしくて思わず曲が終わった後に画中の観客と一緒に拍手しそうになりました。
私も是非その初演に立ち会いたかった!!と悔しくなるくらい。

しかしこのベートーヴェンは格好いい。
こんな格好良くはないだろう・・・。でもエド・ハリスの演技は素晴らしかった。
実際この映画のために何ヶ月か指揮とピアノとヴァイオリンの特訓をしたそうで、
指揮をする様など全然違和感がないのに驚きました。
ヴァイオリンを実際に弾いているシーンもあって、もともと弾ける人かと思ったら、
この映画のために練習したらしいことが分かって脱帽。

それと監督はアニエスカ・ホランド。
レオナルド・デイカプリオの異色作『太陽と月に背いて』の監督さんでした。
私この映画好きなんですよ~。
あんまりおおっぴらには云えないというか云わないようにしてるんですけどね(笑)

太陽と月に背いて

太陽と月に背いて

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2007/01/27
  • メディア: DVD

難を云えばカットが不自然なところが2、3点あり、一瞬話が繋がらなくなるところもありました。
あと邦題がヘン。だと思う。
でも全体的にいい映画でした~^^
日本では年末に第九をよく聴くし、これからの年末年始に向けて是非ご覧下さいな★

斯く云う私も今年の年末は東京文化会館でベートーヴェン・チクルスを聴いて年越しします!
今年亡くなった指揮者の岩城宏之さんの追悼コンサートで、ベートーヴェンの交響曲1番から
9番を3時くらいから始めて、第9で年越しするそうです(笑)
なんておバカな企画!でも楽しそう!

私にとってBrahms、Beethoven、Brucknerの3Bの曲は人生の必需品です。


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イノチノオンジン カンシャ エイエンニ [映画]

わぁ~ぉ わぁ~ぉ わぁ~ぉ

今年ちょっと嬉しかったこと。
ちょっと前ですがDLの「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」を観に行けたこと。

「TOY・STORY」はまわりで観た人が必ず絶賛する映画でしたが、
一度観たら私も大好きになりました。
海外のキャラクターって日本のキャラクターみたいに見るからにかわいい♡って
ものは少ない気がするのですが、動いている姿を見るとやっぱりかわいく見えてくるから
なんとも不思議。
ストーリーもちょっと切なくてさ。
自分に子供が出来たら、是非見せたい映画でもあります。
「TOY・STORY」を観て育った子供は、きっといいこに育つよ。きっとね。

え~ら~ば~れ~た~

映画にも出てくるUFOキャッチャーがちゃんとありました。いひ。

フロリダのDWはちゃんとゲームセンターもあるし「ピザ・プラネット」もあるらしい。
行ってみたい・・・。

わぁ~お

実際お話しするんです、コレ。
我慢できなくて買っちゃいました・・・えへ~。

エイリアンが写真撮影してました

私も混ざってみる

エイリアンばっかりになっちゃった。
私がエイリアン好きってこともあるけど、エイリアンばっかりいましたね~。
脇役な上にちょこっとの登場なのに、1番人気ありますね・・・エイリアン。

そういえば続編が出るって話しはどこにいったのだろうか?
ウォルト・ディズニー・カンパニーとピクサーの長期的な諍いがあって、
ウォルト・ディズニー・カンパニーだけで映画を作るとか、ピクサーだけで映画を作る
とかそんな噂もあったので、出来上がったところでどんな映画が出来上がるのか
心配していたのですが、今年5月にピクサーがウォルト・ディズニー・カンパニーの
完全子会社化されて、その後続編の話しはぱたりと聞かなくなってしまいました。
前2作があまりにも素晴らしかったので、観たいような観たくないような・・・複雑な心境。

・・・とそんなことを考えていたら「TOY・STORY」をまた観たくなってきました^^

イノチノオンジン カンシャ エイエンニ!


かもめ食堂とフィンランド [映画]

おいしいとしあわせは似てる

映画『かもめ食堂』のDVDが発売されたので早速購入。むふー。
2006年/日本

初回限定版には「猫と歩くヘルシンキ」というロケ地になったお店や場所を、
メイキング映像も含めて紹介しているとのこと。
早く見たい気持ちを抑えて自宅には持ち帰らず、現在会社のロッカーに閉まってあります。
・・・うずうず。早く見たい見たい見たい!!!

今年の春上映していたこの『かもめ食堂』は私のだーい好きな映画で、
今まで観た映画の中で5本の指には確実に入ります。
春に観に行った時も書いたのですが、本当にかわいらしい、あのゆるやかな空気感が
とーても居心地がいいのです。
まだ観てない方には是非お薦めです~。

フィンランドが舞台の映画なので、家具や食器もフィンランド製で統一されていまして、
それがまたシンプルで素敵なんです。
いいなぁイッタラの食器・・・アアルトの食卓・・・。

この映画を観た後、友人とある約束をしていましてね、
いつか二人とも本当にどうしようもなくなったら、フィンランドへ行ってね、
「かもめ食堂」を二人で始めよう、って決めたのです。笑。
いいでしょう?素敵でしょう?
どんなに辛いことがあっても、行き着く先があの食堂ならいいよね~って、
二人で笑いあったのです。
時々ねー、あーあ、って思っちゃった時に、強く思い出してます。
だから頑張れるのです。
ね。ゆきんこちゃん。
北欧は行ったことないので、そのうち旅行でまずは訪れますかな。

ところでその慰み、とでも云うか、私ね、ムーミン谷の村民なんですよ。
あ。これ本当本当。
村民証も一応あるし。どっかいっちゃったけど・・・。

でもね、先日ムーミンから最後のメールが来て、もうメールくれないみたいなんです。
今まで定期的にムーミンからメールきてたんですけどねぇ。。。
なんのこっちゃ???って感じでしょうが、実は今まであったムーミン谷のHPでは
ムーミン谷の村民登録が出来たのですが、新しくリニューアルになるにあたって、
ただの会員になるみたいなんです。
なーんだ、って感じでがっかりしてました。「村民」ってところが良かったのに・・・。

興味のある方はこちら。
ムーミンもだーい好き。

↓これお気に入りの食玩です♪二人の表情が最高!!


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半休 [映画]

 さすがに病気には勝てません。今日は午後半休。
時間が出来ると何しよう何しようと予定をすぐたてたくなるのですが、
今日はちゃんと寝ますよ。

と思っていたはずなのに夜から映画を観始めてしまいました。
スタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」。
キューブリックの映画って構図がなんだか特徴的だなぁと思っていたら、
もともと雑誌のキャメラマンだったらしいですね。
「アイズ ワイド シャット」も美しかった・・・。
なんだかあのアングルって愛おしい。

結局、風邪っぴきが観るのにはちょっと重い映画だったので、途中で止めておきました。
勿体無い気がして。
「時計じかけのオレンジ」も家にあるのに観ていない。
でも観溜めするのも時間が勿体無い気がしてしまうのです。


謎解 [映画]

 今話題の「ダヴィンチ・コード」を見に行きました。
本は先に読んでいて、ストーリーが面白いのは分かっていたし、
俳優がどの人も好きな人だったので、絶対見に行こうと思っていたのです。

トム・ハンクスの「キャストアウェイ」、オドレイ・トトゥの「アメリ」、ジャン・レノの「グランブルー」は、
自分内映画ベスト10入りする大好きな映画なので、これは見逃せなかったのです。
実際映画は良かったと思います。
「思います」と云う辺り、本当に良かったのか自問自答しているところですが、
あんまりに本の方が面白かったので、結局原作が小説の映画ってなぁ・・・という印象です。

前評判は賛否両論で、小説を読んでない人が見ると情報量が多すぎて理解出来ない、
との話しでしたが、小説を読んだ人間からするとあんまりに情報量が少なくなっているのが
気になります!
あの小説は謎解きが面白いのに、映画では殆どてこずることなくするすると謎解きしていくので、
しかけがとても簡単に思えてくるくらいです。
やっぱりあの小説の情報量を映画の2、3時間でまとめるのは無理があったようですね。
小説を読んでない人があの映画を見て、人間関係とか、殺人が起きた理由とか、
あの映画の描写だけで理解出来るのかなぁ?と思いました。

ベスト10に食い込む映画ではなかったですが、映像は良かったし、
俳優はやっぱりどの人もハマリ役でした。
ジャン・レノは実際あて書きだったそうですね。
オドレイはやっぱりかわいかったぁぁ。
トム・ハンクスが彼女のことを、「彼女が質問をすると本当に純粋な質問に聞こえるんだ」と
コメントしていたのが、なんだかとても印象的です。




偉大 [映画]

 先日「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」を見に行きました。
風邪薬を飲んで見に行ったので途中意識が朦朧としたこともあり、上映している期間中に、
是非とももう2・3回は見に行こうと思っています。
というのが見終わった今でも、どの言葉が適切なのか、なかなか思い当たらないのです。

ルイス・カーン(1901-1974)は戦後のアメリカを代表する、現代建築の巨匠です。
彼の建築をひとつでも見れば分かります。
彼が実に「偉大」な建築家であることが。

劇中でもルーブル美術館のガラスのピラミッドで有名なイオ・ミン・ペイが云っていますが、
「建築は50年後にはどうなっているか?これが尺度だ。」の台詞はまさに同感です。
J・F・ケネディ図書館など数多くの建築物を残した彼が、「数が問題ではない」と言い放ちました。
「自分はカーンより少しばかり我慢強かっただけだ」と。

建築ほど結果、他人に寄り添う芸術はないと思ってます。
その中で暮らし、その中で時を過ごすのです。
そんな芸術品は他にありません。
だからこそ、芸術でなり得なくなりやすい。
そういう意味でカーンは真の芸術家であったことが、この映画を見てよく分かりました。

この作品はカーンの2番目の愛人の息子ナサニエルが、
「映画監督」として「息子」としてルイス・カーンという人物を記録したドキュメンタリー映画です。
11歳の時に駅のトイレで死んでいった父親を受け入れる旅に出るために、
この映画はありました。

愛人の息子として育ち、殆ど時を同じくしなかった父の人物像。
それを追い求めるこの記録は、ただ単に記録映画として分類されるものではなく、
非常に「愛」に溢れた映像で、その見終わった後の最後の言葉が、
今の私にはうまく表現出来ないのです・・・。

カーンと共同に仕事をした同僚のカーンへの「愛」。
カーンの血縁者として「偉大な建築家」を親類に持った者の複雑なカーンへの「愛」。
カーンという一人の男を信じ、傷つき、それでも愛してやまない女たちのカーンへの「愛」。
偉大すぎる父を持ってしまった子供たちの父への「愛」。
そして、カーンの「建築物」を愛する人々の何よりの「愛」。

そうした様々な愛の形や、その愛を受けて創造されたカーンの建築物がスクリーンに
映し出された時、私に云える言葉は何もなかった・・・。

ただただ、カーンの建築物を実際に一目でも見ることが出来れば・・・と切に願ってやみません。




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